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どんな症状?

ドライアイ

ドライアイをご存知ですか?私はドライアイ研究会に所属しています。「乾いた・眼」という意味で「ドライアイ」といいますが、ドライアイでお困りの患者さんが増えています。

ドライアイの症状

意外に思われるかも知れませんが、「眼が乾く」と言って受診される患者さんはわりと少なく「眼が疲れる」、「眼がしょぼしょぼする」、「眼が開いていられない」といった訴えが多いようです。

あなたもドライアイ?自己診断チェック
参天製薬「ドライアイ自己診断シート」より)


眼が疲れやすい


めやにが出る


眼がごろごろする


重たい感じがする


眼が乾いた感じがする


何となく眼に不快感がある


眼が痛い


涙が出る


ものがかすんで見える

10
眼がかゆい

11
光を見るとまぶしい

12
眼が赤い

5つ以上あてはまる方はドライアイの可能性が高いです。

 

眼を開けたとき、角膜の上に涙が安定して広がっている状態が正常です。ドライアイの方はその状態の時間が短く、すぐに一部の角膜の表面が乾いてしまい角膜上皮が露出するため痛みを感じ眼を開けていられないといった症状を現します。また、涙液の表面が不整になるため像がぼやけ、ぼやけた状態でものを見ようとするため眼が疲れるという眼精疲労の原因にもなります。
中には「涙が出る」という一見矛盾した訴えをされる方もあります。涙腺の分泌する力が十分残っている方や鼻の方に涙を排出する働きをしている涙道が閉塞している方は、眼が乾くからこそ涙が分泌されて「反射性の流涙」を起こすことがあります。

ドライアイの原因

ドライアイの原因には、涙の分泌が少なくなる涙液分泌減少型と涙がすぐ蒸発してしまう涙液蒸発亢進型のふたつに大きく分かれます。

涙液分泌減少型の代表はシェーグレン症候群で、免疫異常により自分の涙腺が障害されてしまうもので、唾液や胃液などの他の分泌腺の分泌も傷害されます。比較的まれですが眼の障害が重症になりやすいので、いろいろな治療の組み合わせが大切になります。

それ以外にも加齢や糖尿病、レーシックなどの近視矯正手術のあと、ある種の目薬などでも涙の分泌が少なくなることがあります。

涙液蒸発亢進型としては、涙の中に油を分泌する働きは主にマイボーム腺がつかさどっているのですが、その機能が悪くなるマイボーム腺機能不全では、涙がたくさん蒸発してしまい、涙の量は正常でもドライアイになります。その他、パソコンなどのVDT(Visual display terminal 端末表示装置)作業や集中して読書をすることにより、まばたきが少なくなり、涙の蒸発が多くなったり、エアコンを使うことで部屋の空気が乾燥して眼が乾いたり、コンタクトレンズを角膜の上につけると角膜の一部分に涙液層の薄いところができて部分的なドライアイになることがあります。

ドライアイの治療

眼が乾くという症状だからといって、市販の目薬をさしているだけではよくならないことがあるばかりでなく、目薬の中に含まれている防腐剤により角膜の表面の傷がかえって悪くなることもあります。原因にあわせて適切な治療を受けることが大切です。

眼科ではまず、目薬での治療を行います。
原因によって組み合わせは異なりますが、涙液膜の安定性を高め、角膜上皮の傷を治す助けになるヒアルロン酸点眼から試みることが多いと思います。他に人工涙液は、涙液の代わりとして主成分を塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの電解質からなる水分を補って乾燥を防ぐために用いることがあります。マイボーム腺機能不全のように炎症が関与している場合は炎症を抑えるためステロイド点眼を使用する場合もあります。

現在製剤としてある目薬でよくならない場合、自分の血液から点眼液を調整して使用する場合があります。

保存的な治療でよくならない場合、涙が鼻の方へ抜けていくところの穴である涙点を特別な器具や手術で塞ぎ少ない涙を有効に使おうとする外科的治療も行われています。涙点プラグなどは、痛みもありませんし、外来でできる処置なので心配ありません。

いずれにせよ、眼科の専門医を受診していただき、原因や眼の状態に合わせた適切な治療を受けていただくことが大切です。眼の乾きだけでなく、眼に不快な症状がおありの方は、ドライアイが隠れていないか?お近くの眼科で検査を受けられると安心です。

ドライアイの方に気をつけていただきたいこと

すでにドライアイの治療を受けられている方や治療を必要とするほど症状がきつくない方には環境改善も大切です。ドライアイの症状は、乾燥や風のある環境では悪化するので次のようなことに気をつけていただきたいと思います。

  • 眼の表面の乾燥を防ぐためにエアコンの風が直接顔にかからないようにしましょう。
  • 空気が乾燥しやすい季節には、室内の湿度を上げるためにできれば加湿器を使いましょう。
  • パソコンやテレビ画面はなるべく目線より下に置くようにすると角膜の露出が避けられます。
  • 集中して物を見ているときはまばたきも少なくなりますので、意識的にまばたきをするようにしましょう。
  • 眼の周りだけの湿度を上げる専用の眼鏡もでていますので、乾燥や風のある環境からどうしても逃げられない方にはお勧めします